上海教育事情ブログ

上海で個別塾「上海個別塾(シャンコベ)」を運営しつつ、上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。上海だけでなく、他の海外からの中学受験、高校受験、大学受験について、一般入試や帰国生入試に分けてリアルな状況をお話します。

上海現地校に通う日本人学生たちのTOEFL事情

年末年始に日本に帰国したり、上海の春節で出かけたりとバタバタとしておりました。大変ご無沙汰しております。

 

さて、春節前頃からですが、日本人学校高等部の高校1年生が6人帰国するということで、関係者の間では少し噂になっておりました。しかし、1クラスしかなかった今の高3に比べて、今の高2は他の学年は人数が少し多いので、来年度になって新高1が入ってくれば人数自体は微増するでしょうか。

 

さて、いろいろと中学・高校・大学の受験結果が出始める時期ですね。3月には卒業式です。日本人学校高等部初めての卒業生たちの進路はどうなっていくのでしょうか。そのことに関してはまた後日ご報告できればと思っております。

 

ところで、国際部に通う日本人学生も海外の大学申請が一段落したところです。しかし、日本の大学に帰国子女入試で受験するにはまだまだ時間があります。で、最近TOEFLの勉強のことで相談を受けました。日本の大学に帰国子女として受験するためにTOEFLの点を上げたいとのことです。

 

TOEFLに関しても少しばかりかじったことがあったので、とりあえず相談を受けた生徒さん(現地校国際部11年生)に手元にあったリーディングを解かせてみたのですが、これがびっくり。読解した内容があまりにも「ぼんやり」なのです。それでも、TOEFLはそこそこ解けるんですね。まず読んでもらったのは、この文章。第一段落の英文と第一段落だけ読めば解ける問題のみ掲載します。

 

Characteristics of Roman Pottery

 

     The pottery of ancient Romans is remarkable in several ways. The high quality of Roman pottery is very easy to appreciate when handling actual pieces of tableware or indeed kitchenware and amphorae (the large jars used throughout the Mediterranean for the transport and storage of liquids, such as wine and oil). However, it is impossible to do justice to Roman wares on the page, even when words can be backed up by photographs and drawings. Most Roman pottery is light and smooth to the touch and very tough, although, like all pottery, it shatters if dropped on a hard surface. It is generally made with carefully selected and purified clay, worded to thin-walled and standardized shapes on a fast wheel and fired in a kiln (pottery oven) capable of ensuring a consistent finish. With handmade pottery, inevitably there are slight differences between individual vessels of the same design and occasional minor blemishes (flaws). But what strikes the eye and the touch most immediately and most powerfully with Roman pottery is its consistent high quality.

 

この段落の内容を要約してもらうと、彼は「古代ローマの陶芸品はクオリティが高かった」と要約しました。もちろん最も大事なことはできるだけ速く正解を導くことであり、この程度の理解でちゃんと問題を解いていくこともできます。例えば問1を見てみましょう。

 

1. Paragraph 1 indicates which of the following about Roman pottery?

A. Roman amphorae were of much higher quality overall than other Roman pottery.

B. Roman pottery can best be appreciated when actual pieces are handled.

C. Roman pottery declined slightly in quality when the use of fast wheels and kilns was introduced.

D. Roman practical tableware spread more rapidly across the Mediterranean than amphorae did. 

 

第1段落の内容に適するものを選択する問題です。こうした問題の場合はまず消去法で考えましょう。まず、Cにある「ローマの陶芸品は質が少し低下した」といったネガティブな内容は第1段落とは正反対の内容になります。またAの「amphoraeは他のローマの陶芸品よりもずっと質が高かった」や、Dのように「食器の方がamphoraeより急速に拡がった」という内容は書かれていません。ですので、Bであることはすぐに判断がつきます。

 

では、問2はどうでしょうか。

 

2. All of the following are mentioned in paragraph 1 as characteristics of Roman pottery EXCEPT:

A. It was usually made with high-quality clay.

B. It generally did not weigh much.

C. It did not break as easily as other ancient pottery.

D. It sometimes had imperfections.

 

これも、"Most Roman pottery is light and smooth to the touch and very tough, although, like all pottery, it shatters if dropped on a hard surface." を見れば難しくない問題です。ここで"like all pottery"と言っているので、Cの「他の古代の陶芸品とは異なり…」の内容ですぐに違うことがわかると思います。Cが明らかに違うので、他はもう考える必要もなくなります。

 

こうして解いてみると2問とも簡単に解けました。彼も簡単に解いていました。こう考えるとTOEFLのリーディングは、中学校レベルの国語力で十分に解くことができます。

 

しかし、その程度の理解で常にリーディングを解くと、点数では30点中20点程度が限界になってしまいます。アジア人であればリーディングが稼ぎどころなので、もう少し点数を上げたいところです。どうすれば点数があがるでしょうか。

 

点数の上げ方は人によって変わります。例えば、小さい頃からインターに通い、ずっと英語で勉強をしている場合、あとは回数をこなして形式に慣れるくらいだと思います。正直、こうした子たちに関しては、TOEFLのリーディング対策はあまり必要ない気もします。

 

しかしながら、英語での勉強に慣れていない、特に、高校から国際部に通い出すような生徒さんは、英語での読解は時間が足りなかったり、不十分な理解になってしまいがちなので、日本語の知識で補うことが多ければ多いほどいいです。そのための背景知識や文章のポイントをつかむ訓練をしておきましょう。

 

続きは次回で。