上海教育事情ブログ

上海で個別塾「上海個別塾(シャンコベ)」を運営しつつ、上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。上海だけでなく、他の海外からの中学受験、高校受験、大学受験について、一般入試や帰国生入試に分けてリアルな状況をお話します。

上海の教育事情について(2017年)

1.2013年→2017年 上海の日本人向け教育事情の変化概要

上海の教育事情について、2013年の記事をご覧になっている方が多くいらっしゃいましたので、ちゃんと最新の情報を発信していかねばと思い、更新頻度を高めようと思っています。というのも、2013年当時は日本から上海に来る方が多かった時期でしたが、今はまた状況が違います。以前よりも落ち着いた上海で、どのような教育事情なのかを客観的にお伝えできればと思います。

 

まず、2017年度になって目立ったことといえば、古北・虹橋ではウイングさん、浦東では上海アカデミーさん、enaさんなどの学習塾が教室を閉めたりしています。日本人も徐々に減るなかで拠点を集約しているのでしょうか。そのあたりの詳しいことまではわかりませんが。そうした学習塾の選択肢は減ったようにも思います。

 

一方、教育内容的には少し充実してきたのではないでしょうか。2013年頃までは上海に新しく来る日本人の方が多く、どの教育機関も増える生徒さんをどう対処するかに追われていた気がします。それは学校しかり、塾しかりです。例えば、日本人学校高等部では毎年のように先生の入れ替わりがありまし、先生不足に対応するために、経験の浅い先生方で何とか乗り切ろうとしている所もありました。しかし、最近ではそうした新しく来る日本人の方の数が減ったぶんだけ、逆に各教育機関には今いる生徒さんとしっかりと向き合う時間ができ、教育環境としては落ち着いたようにも思います。

 

2.上海の教育事情で最も変わったこと

ところで、一番大きく変わったと思うことは上海日本人学校浦東校の中学部の教育内容です。毎年定期テストは確認しているのですが、特に数学のテストが簡易化しています。逆に国語はやや難化傾向にあります。

 

この理由は簡単で、担当の先生の任期の問題です。以前数学で難しい問題を出すことで有名だった先生が帰国され、今の先生は比較的基本問題を中心に出すようになっているかと思います。そのため、以前であれば数学の定期テストの平均点が50点台ということもありましたが、今では平均点が60点後半から70点台と高くなってきています。

 

このこと自体はいい傾向だと思います。そもそも公立的な位置づけでもある日本人学校があまり難しい内容をテストに出すのは不適当だと思うからです。基礎的な知識やそれを少し応用する力を測ればいいと個人的には思います。

 

一方で国語は難化しているように思います。そもそも先生の要求するレベルが少し高い。テストの平均点が50点台だったときもありました。それを考慮せずに自分の子どもの国語力がないと心配する方もいますが、そうではなく、先生の要求しているレベルが上がったことが最も大きな原因です。

 

3.お伝えしたいこと

以上のようにあまり内容がない文を綴ってきましたが、何が申しあげたかったかと言いますと、昔の情報はあまり役に立たないということです。「日本人学校でどれくらいの成績を取っていたからどれくらいの高校に行ける」とか、「あの高校に行くにはどれくらいの偏差値が必要」とか、お母さん同士で話されたりしますが、その情報が何年の話なのか、そもそも事実なのかをしっかりと整理しておくことが必要です。

 

この記事を書いた一番の目的は、まずは情報収集ではなく、お子さんの現状をしっかりとみてあげることが何より大事、ということをお伝えすることです。テストの点数だけを見たり、過去の情報をいろいろ集めて焦られたりしても、それが何を意味しているのかを読み取るのは難しいです。

 

それよりも、まずは学校の勉強において、お子さんにどんな実力がついていて、どんな癖があって、どんな考え方をしていて、どうしたいと思っていて……というお子さん自身のことを見てください。そして、お子さんの現状をちゃんと理解したうえで、必要であれば何を改善していくかをお子さんと共有してください。

 

海外だから情報が無くて心配になり、いろいろと焦ってしまう保護者の方は多いですし、それはお子さんのためを思っていることは重々承知しています。しかし、その焦りのなかには少なからず「早く自分の心配事を片付けたい」という自分のための焦りもあるはずです。ですが、子どもは保護者の方のそんな気持ちを察してはくれません。ですので、保護者の方からお子さんの現状をなるべく理解してあげ、そのうえで本当に合う教育環境や進路等を探すのが何よりも大事だと思います。