上海教育事情ブログ

上海で個別塾「上海個別塾(シャンコベ)」を運営しつつ、上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。上海だけでなく、他の海外からの中学受験、高校受験、大学受験について、一般入試や帰国生入試に分けてリアルな状況をお話します。

帰国子女受験の動向(2017年度)

さて、今年度の帰国子女受験(海外出願)の結果が出始めたので、私の方で感じている傾向についてお伝えできればと思います。今回は帰国生の大学受験のなかでも、特に「海外出願」についての感想です。2月14日に上智大学国際教養学部、23日にICUの結果が出ましたね。それについての所感をお伝えさせていただきます。

また、その他のインター生の帰国生入試、今年の高等部の一般受験の話、また帰国生の高校受験についてはまた次回以降に更新いたします。

◆帰国生(海外出願)の大学受験の全体的な傾向について

今年の結果を全体的に見ていますと、受験生の中で「学校の成績が高い生徒さんほどいい結果が出ている」ように思います。書類審査において、数年ほど前までは多くの私立大学について高校時代の成績はあまり重視しない傾向だと言われていました。もちろん、国立大学受験については以前から高校の成績重視と言われてました。しかし、上智、ICUなど私立大学は書類においてもSATやTOEFL等のスコアをある程度揃えさえすれば確実に通っていました。そうして私立大学受験ついてはあまり学校の成績はみないということで、学校の成績が足りない子にとって、高校在学中に出願もできるということで、最初の出願先として人気がありました。

しかし、今年については「スコアだけ見られているなら、例年なら受かるのにな」と思う子でも今年は残念な結果になったケースがあるということです。一方で例年通り合格を手にしている子もいます。その差を考えてみたときに、成績でGPAで3.5、IBでは37以上など、普段の成績が高い子ほど合格を手にしている様に思う、ということでした。

さて、そのことからインターへの進学を考えらえている保護者の方には少しのアドバイスがあります。それは、早い段階から成績をとることをお子さんに意識づけることです。「インターからなら良い大学に行きやすい」と思われている保護者の方も少なからずいらっしゃいます。そしてとりあえず、TOEFLのスコアだけでもあげなきゃと必死になってTOEFLの塾に通わせるなどをされていたりします。

しかし、近年帰国生受験について対策等もかなり充実したからでしょうか。また、アジア(特に中国)の学生の書類のレベルも年々高くなっています。それによって、書類に対する要求が徐々にインフレしているように思います。スコアを取るのも当たりまえ、それだけでなく成績や他の資格や賞などをしっかりと取ることも必要条件になりつつあるように思います。つまり、「帰国生の大学受験も、思っている以上に大変」ということです。

◆日本帰国後の帰国生入試はこれから判断

先の傾向としてお伝えしたのはあくまで上智、ICU、早稲田等の9月入学を書類審査のみで出願する場合の傾向です。早稲田の結果もまだ出ていませんので、それについても追って私個人の所感は述べさせていただきます。

ただ、もう一つ言えることは、「6月の卒業後日本に帰国して受験をする場合はやはり私立大学はあまり高校の成績を見ていないところが多い」ということです。本格的な帰国生受験は、実際には卒業後に日本に帰国してから始まります。去年のその結果を総合して考えてみると、日本に帰国後はあまり成績までは見られておらず、むしろ面接や小論文の方を重視されているように見えます。

つまり、かなり大雑把な言い方になりますが、学校の成績がとれているのであれば高校在学中に海外出願での合格を目指すことができ、成績があまり取れていないということであれば、日本に帰国後に帰国生受験をして合格を目指すのが中心にはなるかと思います。

早めに合格を得て安心したいということであれば、それだけ早いうちから意識して準備することが必要になるということですね。

よくよく考えてみますと、それって高等部のお子さんも同じなんですね。一般受験を目指すお子さんはその限りではありませんが、推薦を狙っているお子さんにとって成績がとれているお子さんは高校在学中に協力大学の推薦を取って大学を決めることができる一方、成績があまりとれていなければみんなの合格が決まった後で、いろいろと推薦を出していかないといけなくなる。

「推薦で良いところを目指したい」のであれば、それだけ早い段階での準備とそのためのお子さんとのコミュニケーションをとるようにしてください。

 

次回は、今の高等部3年生たちと話す機会が近々ありそうですので、高等部の受験の結果についてまとめたいと思います。