上海教育事情ブログ

上海で個別塾「上海個別塾(シャンコベ)」を運営しつつ、上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。上海だけでなく、他の海外からの中学受験、高校受験、大学受験について、一般入試や帰国生入試に分けてリアルな状況をお話します。

高等部からの国立大学受験②(2018年度の振り返り)

前回に引き続き、高等部生で実際に国立大学を受験した生徒さんに絞ってどのように受験をしたのかを詳しくお伝えしようと思います。まずは前の内容を読んでから、読んでもらえると参考になるかと思います!

 

③ 受験勉強(初期)

高2の2月から高3の4月頃の時期が初期にあたります。まずは、英数の基礎を一通り固めていきました。英語は、春節と春休みを利用して文法を一周しました。これは、3年生になってから、ネクステなどの参考書で自分でも勉強を進めるようにするためです。数学は、単元毎に重要例題を絞って解き方を説明していきました。三角関数→ベクトル→数列→微積と進めましたが、この辺の順番は特に意識していません。三角関数が特に苦手だったのと、ベクトルや数列は独立してその単元だけを教えやすいので、まとまった日数がとれる度に進めていきました。

センターレベルであれば、数学が一通り終わっていれば1つの単元は10時間ほどで十分復習できます。だいたい3~4日で1つの単元を終わらせるようにしました。三角関数は、加法定理の公式さえ覚えられていない状態からでもちゃんと身についていたので、この時期に全然できていないと思っていても焦らず着実に一つ一つ固めることが大事です。

国語、世界史、地理、理科基礎に関してはこの時点ではほぼ手をつけていません。現代文・世界史は4月から、理科基礎は7月から、そして地理は9月から本格的に始めています。英数以外の科目は後でまとめます。

 

④ 受験勉強(中期)

高3の4月に学校が始まり夏休みまでの期間です。この時期は春休みほどまとまった勉強時間をとることができなくなってきます。また、学校の登下校の時間や休み時間、ときには授業時間などで、自分で勉強する時間がどうしても増えてきます。そこで、春休みまでに終わらせた英文法や英単語をネクステやターゲットで定着させること、数学の入試基礎問題として『文系の数学』を1週間に1単元ずつ進めることを決めました。さらに、家でできることとして世界史をYoutubeでみながら夏休みまでに一周することを目標に進めてもらいました。

語は、文法はネクステを何周も(具体的に何周したとかは覚えていません)、単語はターゲット1400からやり直して1900を毎週100~200語、そして授業で語法をしていきました。また、現代文の読解にかなり力を入れるようにしました。現代文読解がちゃんとできれば、英語の読解は圧倒的に楽になります。なので、英語の読解を本格的にやる前に、接続詞の分類、対比や同値の見方、要旨のまとめ方など現代文読解を細かくやりました。

この時期に特に重要なのが、自分に合った勉強方法を試行錯誤することです。自分での勉強時間が大きく増えるこの時期に、「どの問題集を使うのか」、「どのペースで進めるのか」、「どれくらい深く学べばいいのか」、といったことをこの時期にしっかりと考え、自分で手ごたえをつかむ必要があります。分からないことを質問してもらい、その質問の内容によって、どれくらいのレベルで自習ができているのかを判断するようにしていました。

また、自分に合った勉強方法が身についているのかは本人はどのように判断すればいいでしょうか。私はこの時期、ずっと「模試の点数とか偏差値は気にしなくていい。むしろ、自分がやった単元の正答率や平均点との差など、部分的なところを気にしよう」と言い続けました。そもそも勉強の仕方が良いのか悪いのかを判断するポイントは、「やった分だけ点数が伸びているか」です。まだ手をつけていないところが良かろうが悪かろうが、それはその人の現在地を確認するほどのことにしか活用できません。しかし、対策をした内容で点が取れていなかったなら、その原因を徹底的に考える必要があります。

多くの人が間違うのが、たくさん勉強をしたんだから、「偏差値が上がって欲しい」とか「良い判定が出て欲しい」と期待してしまうことです。それは大きく間違っていると思っています。そもそも受験は総合点で合否の判断がされるものですが、国立受験となるとその総合点が合格ラインに乗るのは1月上旬、遅ければセンター後になることだってあります。高2の最後に始めて数カ月のこの時期にそんな総合力がついているはずがありません。ですので、判定は無視して下さい。そして、自分が対策した単元だけをしっかりと見てください。それで自分の勉強が合っているのか間違っているのかがわかります。

実際、この時期はどの大学・学部もE判定でした。私はそれに対して、本人にも「判定なんて今は全く関係ない。自分の立ち位置だけ確認して、あとは自分がやっている内容が身についているか、そしてそのペースで進めて間に合うかが大事」とも言っていました。

 

(続く)