上海教育事情ブログ

上海で個別塾「上海個別塾(シャンコベ)」を運営しつつ、上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。上海だけでなく、他の海外からの中学受験、高校受験、大学受験について、一般入試や帰国生入試に分けてリアルな状況をお話します。

高等部からの国立大学受験④(2018年度の振り返り)

高等部からの国立大学受験シリーズを今回で完成しようと思っていましたが、あともう1回かかりそうです。(センターについての話が少し長くなってしまいました。)

ということで、前回、前々回、前前々回に引き続き、高等部生で実際に国立大学を受験した生徒さんに絞ってどのように受験をしたのかを詳しくお伝えしています。まずはを読んでから、読んでもらえると参考になるかと思います!

 

⑦12月中旬~冬休み前半

この時期はセンター試験直前ですので、他の教科に加えて、英語や国語も二次対策をお休みにして、センターの形式慣れの為の対策だけを行っていきます。二次に対しては英語が安定したおかげである程度の得点の目途がたったこともあり、彼に対しては「センターで650点を取れれば順当。680点くらい取れればかなり安心。逆に620点くらいだと危ない。」ということで、700点目標だったのを少し修正して600点台後半を狙うようになりました。

そして、とにかくセンターの過去問を繰り返し解いてもらいました。英語に関しては早い段階で点数が安定していたので5~6年分ほどしか解かず、一方で国語は安定させるために15年分ほど解いてもらいました。数学2Bや社会も10年分ほど過去問を解き、数学1Aや理科基礎は2016年以降の形式では過去問が少ないこともあり他のマーク模試問題集を併用して10数回分解いてもらいました。ここで特に意識してもらったことは「時間配分」です。大問ごとの時間配分や難しいときの問題の捨て方なども、彼の状況に合わせて予め決めていくことで点数がかなり安定するようになりました。

「センターには魔物が棲んでいる」とか「センター本番はいつもより〇〇点下がる」という人もいます。私は、本番で点数が下がるのは、魔物がいるわけでも、難しい問題が出るからでもなく、準備不足に尽きると思っています。彼には、時間配分に加えて本番までに対策が必要なこともすべて伝えました。「本番のテストの環境が今より悪いかもしれない。となりで咳をごほごほするやつもいるかもしれない。開始10分で寝るやつもいるかもしれない。貧乏ゆすりしてくるやつもいる。暖房がききすぎてぼーっとするかもしれない。鉛筆や消しゴムを落として焦るかもしれない。トイレに行きたくなるかもしれない…」とにかく、いろんな事態を想定して、その場合はどうするかを一つ一つ確認していきました。

 

⑧冬休み後半(正月)~センター試験

そして、12月31日、1月1日にセンター本番と同じ時間、同じ試験の順序で教室でセンターパック(赤)を予行演習として解いてもらいました。多くの人は学校で模試は受けたとしても、面倒くさがって本番と全く同じ時間割で解くことをしません。試験ごとの間の休み時間とか長すぎるんですね。しかし、試験と試験の間の長い休み時間をどう過ごすのか、お昼や飲み物、軽食はどうするのか、忘れ物をしたらどうするか、などといった本番と同じ時間割になって初めて経験できることがあります。だからこそ、かなり面倒でも一度本番と同じように長く休み時間をとったり、間でお菓子などを食べるべきかどうかも経験してもらいました。彼自身、そういう想定が得意な方ではないので、とにかく本番でいつも通りのパフォーマンスを発揮するためにできることを尽くすことを考えていました。

2日間のセンターパックの結果は、細かい点数が残っていませんでしたが合計で630点ほどでした。残りの期間は、点数を上げやすい理社を中心に復習することを伝えて、彼は1月4日に日本に出発しました。

それから数日後の1月8日に、本人からセンターパック(青)を解いたという連絡がありました。そのときの得点は、英語8割、国語7割5分、数学6割5分、世界史・地理7割弱、理科基礎7割弱で、合計がほぼぴったり650点となっていました。この年はセンター試験本番が少し遅く、1月19,20日だったため残りの期間に数学や理社の弱い単元の復習を伝えました。

そうして本番を迎えました。2018年は全体的に易化傾向だといわれています。そのなかで彼がとった点数は合計で700点を少し越えた点数でした。易化した以上に得点を伸ばしてくれました。

本番が終わった後、「先生が咳するやついるっていうけど、誰一人そんなことなくて今までの中で一番集中できる環境でしたよー」というくらい本番は集中しやすかったそうです。

こうして振り返ってみると、12月に入ってからは「科目ごとの対策」というよりは「センター試験というイベントについての対策」をしていたと思っています。科目ごとの出題形式に慣れたり時間配分を決めること、試験本番での様々な問題を想定して対処法を決めておくこと、などによって安定して受験することが本番での結果を想定通りにしてくれます。ですので、センター本番に限らず試験本番で点数が下がるとすればそれは準備不足です。

 

つづく。