上海教育事情ブログ

上海で個別塾「上海個別塾(シャンコベ)」を運営しつつ、上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。上海だけでなく、他の海外からの中学受験、高校受験、大学受験について、一般入試や帰国生入試に分けてリアルな状況をお話します。

上海日本人学校高等部からの大学受験

上海からの大学受験としては、今年がある意味で初めてになるのではないでしょうか。上海で生活する高校生の多くは、帰国子女枠で大学受験をしていました。上海に進出している大手予備校の大学合格実績はほとんどすべて小論文など特定の内容を指導しているだけで、受験数学や受験英語を指導した合格実績なんて皆無ですから。

 

そんな中で2011年にスタートした上海日本人学校高等部の高校生たちが初めて受験を経験します。現在高校3年生の生徒数は約30人ほどだそうです。もとは60人近くいましたから、そこまで生徒数が減少した理由はいろいろと噂が飛び交っていますが、結局は受験に対して不安が強いということでしょう。

 

じゃあ、上海で生活していて大学に一般受験するのはどれほど難しいのか考えてみましょう。

 

まず、大学受験に対するノウハウをもっている機関がほとんどないです。というよりそこまで指導できる講師が学校にも塾にもほとんどいない。高校物理、高校化学など特殊な科目においては、そもそも塾で講師を抱えるほどのニーズがないので、どこも通常授業を開設することはないでしょう。

 

あるとすれば家庭教師なんですけど、家庭教師には気をつけて下さいね。家庭教師というのは事務所を抱えている塾と違って最も責任がない立場なので、誤魔化されることだってしばしばあります。

 

数学や物理化学なんて、親からするとちんぷんかんぷんなので、ちゃんと教えているのかどうかは学校のテストくらいでしか判断できないですよね。でも高校で大事なのはテストの点よりも大学受験に合格すること。そういう意味で実力をつけられる指導をしている家庭教師は、私の知る限りでは存在しませんよ。

 

で、さらによくない風潮として感じるのが、日本人学校高等部の指定校推薦で大学進学をさせようとしている雰囲気。実力で受験させないのであれば、そもそも日本人学校なんて通わせるのではなく、他の上海中など現地校国際部の方が帰国枠がちゃんと使えていいですよ。早慶はもちろん、国立だって狙えますから。

 

日本人学校の指定校推薦は、ちゃんと知っているわけではありませんが、それほどよくないです。東京理科大学が指定校に入るのかと注目していましたが、結局諏訪東京理科大学と山口東京理科大学の推薦枠を用意するという残念さ。山口東京理科大なんて、384人受験して382人合格って。じゃあ、行きたければ自分で受験しましょう。

 

という状況なので、大学受験がどういう結果になるのかは注目です。また何か新しい情報があればお伝えします。

 

上海での塾選び

上海の塾選びはけっこう重要です。というのも上海日本人学校は、上海で生活する日本人全員が通えるという公的な存在でありながら、高いレベルの教育を求める保護者もたくさんいるので、日本人学校(特に中学部)の教育内容はそれほど低くありません。

  

数学のプリントを知り合いのお子さんに見せてもらいましたが、中堅私立高校の入試問題くらいの難しさがありました。英語だって、関係副詞とかやりましたっけ、中学校のとき。正直、「そこまでしなくても…」と思うところもありますが、私個人の意見ですので、実際に子どもをその学校に通わせるとなると大事かもしれません。

 

実際、そのおかげか筑駒、開成、灘、慶応、早稲田など、華々しい合格実績になっていたりします。というか、その知り合いのお子さんは学校でのテストの平均点が70点前後でしたが、中央大学附属高校に受かってましたよ。偏差値70くらいですが。。。

 

まあ、上海日本人学校がそんな状態なので、上海で塾に行こうか迷っている方、塾を替えようか迷っている方、塾を辞めようか迷っている方などの参考になれば、と思って「上海での塾選び」を考えてみました。ただ、私個人の意見ですので、当てはまらない場合があるかもしれません。その場合はご了承下さい。

 

1.良い塾は先生の業務開始が早い。

多くの塾は、夕方前後(午後3時以降)から授業が始まります。先生方もそのころに塾に出て来るようなら、少し考えものです。なぜなら、授業時間に電話を掛けると、電話対応スタッフが対応するだけで、先生本人は忙しくて対応なんてしてくれません。「また後でかけ直してください」と言われ、昼間にかけようとしても「まだおりません」。じゃあ、結局いつ電話すればいいの!ってことになります。

 

少なくとも自分の担当の先生が直接電話に出てくれる塾の方がいいですよね。

 

熱心な先生であれば、午前中には塾に顔を出して授業の準備をします。もちろん電話があれば対応もしてくれます。遅くても昼過ぎ(午後1時頃)には先生が来るのかどうかを聞いてみてはいかがでしょうか。

 

2.資格対策講座の罠

「英検・漢検対策」なんて銘うって講座をしている上海の塾も多くありますが、それだけのために講座をとらせるなんて辞められた方がいいと思います。特に上海の塾は割高だと思いますし。

 

というのも、英検も漢検も過去問がサイト上にアップされていて無料で受けることができますし、英検なんて単語を覚えるかどうかです。対策授業を受ける受けないよりも、家で単語を覚えるかどうかで決まりますよ。

 

「子どもが家で勉強しないから」というのであれば、そんな状態の子どもに資格試験を受けさせるよりも、まず学校の勉強をやらせた方がいいと思いますよ。

 

3.先生の雰囲気

子どもがかなり重視するのは、先生の見た目だったり雰囲気だったりします。結局どんなに良い大学を出た先生でも、見た目が悪いだけで「なんかあの先生やだ」と言われて、子どもは勉強に集中しません。大人が思っているよりも子どもはかなりはっきりと好き嫌いがあります。

 

本当に子どもたちから嫌われている先生もいるらしいので、そういう話を聞いたらやはりその先生に自分の子どもを預けるのは少し考えた方が良さそうです。

 

4.集団?個別?

頭の良い子たちは集団塾をおすすめしますが、そんな子たちはどんな形式の塾に通っても変わらないので、誰に対しても学力が上がる可能性を考えるなら、やはり個別指導塾をおすすめします。

 

とはいっても個別指導塾でも、1人の先生が5~6人の生徒をみているときなんか1人の生徒にかけられる時間は1時間に10分、15分ってところです。先生が質問に答えているだけで、自習しているのとほとんど変わらないことだってあります。

 

(2017年8月31日追記)

そんな中でおすすめできそうなところなのですが、今までお伝えしてきた情報が古くなってきましたので、もう一度事情をいろいろと調べてからお伝えしようと考えています。というのも、塾事情は先生によって大きく変わってきていますので、何よりご自身の目で確かめられるのが一番良いかと思います。

 

次回は大学受験の話をしたいと思います。

上海の日本人教育事情

海外生活でかなり重要な「子どもの教育」。特に日本人が多く生活する上海はどうなのか。このブログでいろいろと紹介したいと思います。まずは、上海事情を全般的に紹介します。

 

1.学校の種類

日本人の子どもの場合、通う学校の種類は大きく分けて3種類あります。

・日本人学校

・インターナショナルスクール or 現地校国際部

・現地校

 

海外生活といっても上海(というより、アジア圏全般的に)では、インターナショナルスクールや現地校を選ぶことはあまり多くありません。ほとんどの日本人駐在員の子どもたちは日本人学校に通っています。というのも、

①現地校は中国語なのでそもそも通えない

②インターや現地校国際部は選択肢が少ない上に生徒の学力がバラバラ

③期間がはっきりと決まっていない赴任が多く、いつ日本に帰国しても学校の勉強についていけるようにしたい

というように考える駐在員家庭が多いようです。

 

日本人学校となれば、授業カリキュラムは日本の学校とほとんど変わりありません。あえて違うことを挙げれば、①中学部以下はスクールバス、もしくは保護者の迎えがなければ外に出られないこと、②部活動は週2日しかなく、あまり活発ではないこと、くらいでしょうか。

 

ということで、上海の日本人学校は、虹橋校小学部が1568人(2012年4月)、浦東校小学部が794人、中学部が702人(2012年5月)と、世界最大規模の日本人学校となっています。2011年には世界初の日本人学校高等部が浦東に設置され、約120人の生徒が通っています。今年は日本人学校高等部の受験結果がはじめて出ますね。こんなインタビューもあったので参考にしてみてください。

 

日本人学校高等部インタビュー

 

日本人学校優勢な上海でも、せっかく海外で生活しているからと、子どもをインターや現地校に通わせて英語や中国語を学ばせたいという保護者の方も少なくありません。ある程度長期の滞在になることが決まっているのであれば、インターや現地校に通い、国際感覚を養うことで、海外の学校への進学を考えたり、帰国子女として日本に帰国したりすることに役立ちます。

 

英語での授業、多くの宿題、友達とのコミュニケーションなど、子どもにとってはとても大きな負担になりますが、それを乗り越えたときに得られるものも大きいです。

 

上海中学や進才、甘泉、華東師範、上海外大附属中、復旦大附属中などありますが、詳しくは後日紹介したいと思います。

 

2.上海の日系学習塾事情

上海駐在の日本人の子どもを対象として、多くの学習塾も開設されています。最も早く進出した日系の塾はすでに20年弱の実績があります。有名中学・高校への進学実績も豊富で、講師の採用も日本でしているため、日本でいるのと遜色のない指導が受けられます。

 

また、集団授業といっても上海の場合、レベル別に分かれると1クラスが10人前後の比較的少人数になることがほとんどです。講師1人あたりが指導する生徒数が少ないので、日本よりもきめ細かい指導をしてもらえます。

 

海外ならではのサービスとして、学校や家と塾をバスで往復してくれるので普段忙しい保護者の方でも安心して預けることもできます。

 

ただ、最近「塾崩壊」なるものが上海でも起こってきています。某大手塾では、生徒が先生に消しゴムを投げるなんてことまで起こっているみたいですよ。安心して預けられる先生かどうかちゃんと目で見て判断する必要がありそうですね。

 

上海には個別指導を行う塾も存在します。特殊な受験対策、弱点科目の集中補強など、子どもの学習に個別に対応してほしい保護者の方々も少なくないでしょう。今や日本では5割が個別指導塾と言われています。上海の個別指導は大手から個人塾までいろいろありますが、完全個別指導となるとまだまだ数少ないのが実情です。

 

個別指導となると集団授業に比べて予算が高くなりがちですが、受験中心のカリキュラムである集団授業にはない、子ども1人1人に合わせたカリキュラムで授業を進めてくれるので、その分「今月は英検対策をして欲しい」「テスト前は理科や社会も教えて欲しい」などの要望に対して柔軟に対応してもらえます。上海という場所ゆえ、急な帰国が決まった際に編入試験の対策をするなど、個別の対応はかなり重宝します。

 

 3.せっかくの上海生活をもっと気楽に

日本とは勝手の違う教育事情ですが、考え方によっては日本よりも多くの選択肢があります。お子様とじっくり話し合って、どんな教育環境を整えていくのかをゆっくり検討してみてください。

 

 

なんといってもせっかくの海外生活。塾だけで放課後をガチガチに固めてしまうのではなく、中国ならではの文化を体験したり、現地の子どもたちと交流を行ったりと、子どもにとって気楽な教育環境も考えてあげることも必要です。

 

まあ、子ども自身が興味を持てばという大前提がありますが。。。

 

次回は、いろいろな塾比較をしたいと思います。