上海教育事情ブログ

上海で個別塾「上海個別塾(シャンコベ)」を運営しつつ、上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。上海だけでなく、他の海外からの中学受験、高校受験、大学受験について、一般入試や帰国生入試に分けてリアルな状況をお話します。

上海の教育相談内容ランキングと少しのアドバイス

ご無沙汰しております。なかなか更新できずに申し訳ありません。。。あまり読者の方もおらず、知り合いにも特に告知しないまま開設したブログですので、気ままに更新しすぎですね。上海ではそれくらい気ままなものも必要ですよ!

 

さて、上海の教育関係でよくご相談を受ける内容として勝手にランキングをつけてみました。定量データを用いたランキングではなく、あくまで私の個人的なランキングです。それぞれのご相談に対するアドバイスもしておきます。

 

①学校の成績が伸びない

当然かもしれませんが、やはり最も多いご相談は学校の成績アップです。日本人学校、インターや現地校の国際部など、どの学校に通われていたとしても共通の悩みになります。特に中学・高校ともなると、進学に大きく影響してくるので、何が何でも成績を上げたくて、いろんな学習塾さんやカウンセラーに相談している方も見受けられます。

 

【アドバイス】

まずこのご相談の場合は、保護者の方々のご希望とお子様のやる気が一致していないことが多いです。保護者の方は「~~くらいはとって欲しい」という成績に対して、子どもが「~~も無理だ。なんとかごまかそう」と思っているような状態です。この場合、いくら子どもを叱ったところで効果はありません。

まず、お子様と目標を一致させましょう。「まずはーーを目標にしよう」というときに、比較的実現可能な目標を設定してください。お子様の心の中で「ーーなら自分でもとれるかも!」と思うようになれば、その目標は実現可能性が高まります。そうして目標を達成したら、次の目標、その次の目標へとすこしずつステップを踏ませることが大事です。

しかし、お子様のやる気もあるのになかなか成績が上がらない場合は、そのお子様の勉強の仕方に問題があります。まず、しっかりと時間を計らせながら、今勉強している内容がどれくらいの時間がかかるのか、それをどれくらいの理解度で終えられそうなのかをお子様自身に計算させてください。そうして、常に自分が何の勉強のどの個所を、どれくらいの時間をかけて取り組んでいるのかを理解させることです。

なかなか難しいようですが、慣れれば何も難しいことではありません。単元の内容は問題集に書いてくれているのですから。勉強効率が悪いお子様は、その全体像を把握するのがかなり弱い傾向があります。

 

②高校進学について

学校の成績と深く関係していますが、高等部やインターへの進学も含めた上海独自の事情も絡んだ相談が多いため、別項目としています。特に、高校に進学したとしても、途中で帰国する可能性が高い方は、

(a) 高校受験にあわせてお子様のみ、または御主人以外の家族が先に日本に帰国する

(b) インターや現地校国際部に通わせて、日本の高校に編入するかインターを続けるか考える

(c) 日本人学校高等部に通わせて、日本の高校に編入させる

の選択肢の中で悩まれます。さらに面倒なのは、御主人の帰国後の勤務地が決まらず、日本に帰りたいのだが、どこに帰ればいいのかわからないという状態になりやすいということです。多くの方がそういう問題を抱えています。

 

【アドバイス】

基本的には、学力が中くらいであれば日本人学校高等部への進学をおすすめします。まず、高校からインターや現地校国際部に通ってみたところで、基礎学力が高くなければ中途半端な学力で日本の学校に編入しなければならなくなります。インターから日本の高校への編入も単位的にも受け入れられない高校も多いですよ。

仮に3年間通ったとしても、IBあるいはSAT、TOEFLなどで高いスコアを取るのはかなり厳しいです。私の生徒の1人に、高校から上海中学に通ったお子様がいらっしゃいましたが、やはりTOEFLとSATの両方を高めるのには苦労し、なんとかSAT1で1800越えしたものの、TOEFLを上げる時間まではなく、大学受験を迎えてしまいました。

それならば、高等部で日本の勉強に取り組みながら、編入できる日本の高校を探しておいた方が選択肢は多いです。大学受験に関しては、学力が伸びそうあれば一般受験を考えられたらよいと思いますし、海外経験をいかしてAOや公募推薦という方法もあります。詳しくはコメントいただければご相談にのれるかと思います。

学力が高いお子様に関しては、高校受験にあわせて先に日本に帰国したほうが選択肢は多いかと思います。寮制の高校もありますし、生活面で不安がなければ、学生会館で一人暮らしをしながらの通学を認める高校も少なくないです。そうして日本の高校で日本の教育制度のもとでしっかりと大学受験に備えた方がよさそうです。

なお、お子様が海外の大学に進学したいと強く希望される場合は、この範疇にございません。インターや国際部に通いできる限り英語力を高めつつ、SATやTOEFL、そして何か課外活動での実績を残していってください。高校からの進学であれば遊ぶ余裕はなく、かなりのハードワークを覚悟してください。もちろん、それほど高いスコアを要求しない大学に進学するなら話は別ですが。。。

さて、中学からインターや国際部に入られるケースもございますが、これは本人の強い希望の場合はいいかと思います。中学の勉強に関しては、さまざまなかたちで補講ができますし、そのための時間もそれほどかかりません。それなりに費用はかかりますが。。。とにかく、お子様の強い希望がある場合、まずは中学のスタートをインターや国際部で1年ほど過ごしてみて、その後続けるかを考えてもよいかと思います。

 

③数学を補習して欲しい

日本人学校、インターや国際部を問わず、数学が苦手なお子様は多いです。しかも、上海には高校受験数学や高校数学を得意とする講師もあまり多くありません。大学受験数学なんて依頼しようものなら、「すいません、生徒がいっぱいで今受け入れられません」とでも言われ、断られるでしょう。

 

【アドバイス】

大学受験数学に関しては、まずは高校の勉強と切り離して考えてください。高校の数学でいくら良い点数が取れても難関大学の数学には歯が立ちません。学年別におすすめの勉強の進め方をまとめておきますと、

 

高校1年生の方:

数学ⅠAがある程度終わるまでは学校のペースでよし。教科書傍用(サクシードなど)をしっかりとやり込んでください。ⅡBに入る冬以降に、ⅡBの学習と同時進行で数学ⅠAの応用を解いていくための導入的な問題集「数学ⅠA基礎問題精講」や「チョイス新標準問題集数学ⅠA」のA問題だけなどをこなしておけばよいかと思います。かなり数学が得意な方は「1対1対応の演習」などに取り組んでいれば、模試で偏差値70越えになるでしょう。

 

高校2年生の方:

前提として、夏以降、数学はⅡBを中心に応用問題を解いていく必要がありますので、高2の夏までに数学ⅠAの基礎は固めておくとよいです。基本的には、ⅡBは教科書傍用教材と青チャートを併用させながら単元ごとにある程度応用問題まで触れておきましょう。ただし、青チャートⅡBはすべてやるのはかなり骨が折れるので、辞書的に使えばよいかと思います。代わりに、夏以降にⅡBの応用問題を、「チョイス新標準問題集数学Ⅱ」や「チョイス新標準問題集数学B」、もしくは「数学ⅡB標準問題精講」などで補っていけばよいでしょう。こちらも、数学が得意な方は「1対1対応の演習」などに取り組んでいれば、模試で偏差値70越えになるでしょう。

 

高校3年生の方:

理系か文系かで分かれるところです。文系であれば、夏までに数学ⅡBの「1対1対応の演習」をこなせられれば難関大も夢ではありません。夏にプラチカ、秋以降に過去問演習に入っていけばちゃんと合格するだけの実力がついているでしょう。

理系であれば、さらに数学の勉強量をふやして、「1対1対応の演習」→「やさしい理系数学」と数学ⅠAⅡBの問題集をこなしながら、教科書傍用教材や青チャートで数学Ⅲの基礎をしっかりと固めてください。秋まで数学Ⅲは終わらないと思うので、授業と同時進行で基礎固めをしっかりとしておくことが必要です。秋に受ける模試の結果などもみて、自分の弱い単元を集中して取り組んでください。

 

一方、インター生向けの数学等ですが、これは学校の勉強を補習させるのか日本の数学を勉強させるかに分かれます。私は、インター数学をしっかり学ばせることに力点を置くべきだと考えています。というのも、数学の補習を依頼される場合、数学がそれほど得意でない場合が多く、日本の数学を教えたところで結局忘れてしまうだけになりかねないからです。そうした指導ができるのかどうかを相談されてはいかがでしょうか。

多少であれば私の方でもご相談に応じますので、コメントを頂ければと思います。

 

それでは、よろしくお願い致します。