上海教育事情ブログ

上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。学校、塾、語学教室、文化教室、スポーツ教室など。

志望理由書の書き方(標準編 前半)

前回、志望理由書の書き方(基礎編)を書きました。基礎編では、志望理由書の「基本的な型」をお伝えしました。

基本的に書いてほしいことは次の3点です。

  1. あなたの夢(未来について)
  2. その夢を持ったきっかけ(過去・現在について)
  3. そのために大学(or 企業)で何がしたいのか(近未来について)

ということです。しかし、基礎編で本当に伝えたかったことは他にあります。枠組みばかりを意識するとどうしても中身の薄い志望理由書になってしまうことが多々あります。ですので、型に当てはめようとするのではなく、まずは以下のことを念頭に置いてください。

志望理由書を出さなければならないとき、そこで相手から求められていることは、その人が一貫して何かに取り組んできたことから得た相手をひきつけるような魅力です。じゃあ、その魅力はどうすれば出るのか。それはあなたの経験を振り返り、現在のあなたと繋ぎあわせ、それを今後どうしたいかを決める作業を真摯に行うことです。そうすることで、信念を持った人であることを相手に伝えることができます。その信念こそが魅力として相手に伝わります。

以上のことを意識した上で、今回は、志望理由書でもっとも重要になる、型の部分でいう「夢を持ったきっかけ(過去・現在について)」のところにあたる「自分の経験」の書き方について整理したいと思います。

1. 「自分の経験」が志望理由書の要

志望理由書といえども、結局のところその半分以上を割くことになるのは「自分がどんな人間か」を伝えることです。それはなぜでしょうか。

例えば、「将来、医者になりたい」となりたいことを書き、「医者は多くの人を救うことができる」「小さいときに助けてもらった」「憧れの仕事である」などの理由を並べるとしましょう。それだけでは何かが足りないように思いませんか。その足りないものとは、「志望していること」はわかるのですが、「今まで何か努力してるの?」という現実性の問題であり、さらに「なぜ、他の人でなくあなたが医者になる必要があるのか」という、他の誰でもなくあなたがそれをすべき妥当性です。

では、さらにどのような内容を書くべきでしょうか。先の医者になりたいという例であれば、「高校の生物の授業で遺伝を習って以来、遺伝の分野に強く興味を持ち、近くの大学で開催されるシンポジウムに参加したり、高校の論文でガンに対する遺伝の関係について研究したりした。そうした興味をさらに発展させ、医師になるとともに、遺伝学からのアプローチによってより高度な医療技術を確立したい」などということを含めれば、他の高校生よりもこの人が医者になるべき理由が客観的にありそうです。何せ、すでに自分の分野でやりたいことを自分のできる範囲でやっているのですから、ただ「~したい」という状態の生徒より現実性がありますよね。

つまり、志望理由を書くときに最も重要であり字数を割くことにもなる箇所というのは、「自分がどんな人間か」あるいは「自分が何をしてきたのか」ということを通して将来の夢に対する現実性と妥当性を伝えるところなのです。

2 「.そんな経験したことない」と思ったとき

そこで問題となるのは、「そんな経験したことない」という人です。というよりは、ほとんどの人はそんな経験したことないですよね。そこでいくつかの解決策があります。

2-1 イベントやキャンプ、ツアーに参加する

まず解決策の1つ目として、「期間限定イベントに参加する」という方法です。例えば、夏休み中のサマーキャンプやスタディーツアー、政府の主催する「青年の船」などの青年国際交流であったりです。こうしたイベントから知れることはたくさんありますし、学校以外の人とリアルに知り合うとてもいい機会だと思います。

以下、具体的な活動も紹介しておきます。

  1. 内閣府の青年国際交流事業:日本政府が行っている中高生対象の様々な国際交流プログラムです。特に「世界青年の船」事業は有名。
  2. learning across borders:最も質の高いスタディーツアーの一つだとおすすめしたいアジアのスタディーツアーです。大学生中心。
  3. 日本の次世代リーダー養成塾:高校生対象のリーダー養成としては先駆け的存在。
  4. Youth Connection @ STARBUCKS:コミュニティコネクションの一環として行われた高校生対象のプロジェクト。

探してみるとまだまだあると思います。できるだけ主催がしっかりとしているものを探すといいでしょう。

2-2 専門分野の知識を高め、論文を書く

2つ目の解決策は、自分の興味のある専門分野に関する専門書をまとめて5冊しっかり読み込むことです。本は、著者が何年もかけて経験したことをまとめたものなので、自分の経験不足を補うような情報や考え方を学ぶことができます。その知識をもとに何か簡単なアウトプットを行うことができればさらにいいでしょう。論文コンテストや作文コンクールなどを探してみましょう。学校によっては、課題などで論文を書く機会もあり、それを利用することも可能でしょう。

以下、具体的な論文コンテストも紹介しておきます。

  1. 小泉信三賞全国高校生小論文コンテスト:慶應義塾大学主催の小論文コンテスト。大学への推薦のときにもかなり評価されます。
  2. 高校生小論文コンテスト:毎日新聞主催の小論文コンテスト。こちらもかなり有名です。
  3. NRI学生小論文コンテスト:野村総合研究所が主催する小論文コンテスト。こちらは大学生も対象。

2-3 地元でフィールドワークやインタビューを行う

3つ目の解決策は、自分の興味のある分野の経験者に自分で連絡を取り、そしてインタビューすることです。それが親でも学校の先生でも、あるいは地元の商店の店主でも、誰であれ、かまいません。お願いして、直接話を聞いてみましょう。

そうすることで、他の人が知らないような具体的な情報を得ることができます。例えば、あなたが医師に興味があるのであれば、実際に地元のお医者さんに話を聞いて、その地域の抱える問題を具体的に聞くことができます。もし、機会があれば何か手伝えることがないか聞いてみてください。さらに自分の経験を増やすことができます。

以上のように、とにかく、あなたが興味があることに対して、あなたが最もやりやすい方法で何らかの行動を起こしていくことが大切です。

3. 前半まとめ

あなたが将来の夢を伝えるうえで、最も重要になる経験をどのようにして増やしていくかについて説明してきました。

「具体的な将来の夢なんてない」という人もいると思います。それでいいんです。そもそも、将来の夢なんてふわふわしたものです。生まれた途端に将来の仕事が決まっているなんて時代に生きていないわけですから、それで悩むのも当然。ただ、何か具体的な行動をしながら、自分がどう感じるのか、他人からどう評価されるのかを経験することは、将来の夢がきまっていなくてもできるはずです。だから、先に行動をしておくことが大事。将来の夢はその後に自然と見つかるはずです。

以上、志望理由書の書き方(標準編 前半)では、経験の増やし方について説明しました。後半で、その経験の整理の仕方についてまとめたいと思います。