上海教育事情ブログ

上海で個別塾「上海個別塾(シャンコベ)」を運営しつつ、上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。上海だけでなく、他の海外からの中学受験、高校受験、大学受験について、一般入試や帰国生入試に分けてリアルな状況をお話します。

上海日本人学校高等部についての個人的意見

先日コメントにて、「日本人学校高等部の現状について知りたい」という意見をいただきました。

 

ちょうど日本人学校高等部の内部進学の発表もあり、同様のご質問を受ける時期ですので、コメントも公開させていただき、全体に向けて私の知る限りの範囲ですべてお答えさせて頂きます。

 

まず、相談内容をまとめると、「新中学3年生になる息子を上海に連れていくが、日本人学校高等部の現状はどうか」という内容でした。高校の現状といっても、学校のカリキュラムなのか、先生の質なのか、同級生たちのレベルなのか、はたまた…とありますので、質問を想定して答えてみます。

 

①日本人学校高等部の授業のレベルってどうなの?

全体的には中堅公立高校の進学クラス程度の授業ペースだと考えてください。ですので、授業のレベルはそこそこだと思います。ただし、日本の難関私立高校のように授業ペースがかなり速かったり、個性のある先生によって好き放題な授業が展開されるということもなく、けっこう普通です。私は公立高校出身ですが、同じくらいの授業ペース・レベルでした。

 

ということで、例えば、地方公立高校の進学クラス(偏差値60前半くらいまで)あたりに進学する予定であれば、同じようなレベルの授業が受けられると思います。しかしながら、都市圏の公立上位高校や、中堅以上の私立高校と比べると授業ペースは遅いです。そのレベルに進学される予定であったのなら、何かプラスアルファのことをした方が良いかと思います。

 

難関大を目指すのであれば、理系なら数学と英語、文系なら英語のペースは学校のペースに関係なく、なるべく速めた方がいいです。また、国公立を目指すのであれば、他の科目も含め、早い時期から本人のモチベーションを上げて受験準備をすることが必要になります。これは日本でも同じですが。

 

②先生・生徒のレベルは?

先生のレベルをどう判断するかにもよりますが、学歴(学校歴)で見てみると公立高校よりは圧倒的に良いです。が、当たりはずれがありますので、これに関してはお子様と担当の先生とのフィーリングかと。

 

生徒のレベルについてですが、生徒の学力レベルは模試の偏差値等で客観的なデータがとれるので、それを元に答えます。

 

今の高校3年生は偏差値が40~60後半くらいだと思われます。(全員の成績を知っているわけではありませんので、正確ではありませんが…。)ですので、専門学校に行く子もいれば、難関大学に合格する子も出るでしょう。実験的だった初年度と比べて全体的に学力レベルは上がったので、今年の進路実績は去年の進路実績より良くなると思います。(国公立大合格が増えると期待しています。)

 

高校2年生も模試の偏差値が40~70くらいとかなりばらつきがあります。一学年50人弱の生徒間にそれだけの偏差値の幅があるわけですから、上を見ると高いですし、下を見ると低いです。ただし、学年全体でみると今の高校2年生が最もレベルが高いような気がします。

 

一方、今年の高校1年生は平均的ではありますが、ずば抜けてレベルの高い子もいないかなという印象で、生徒の学力の偏差値は50弱~60前半という印象です。全体的に頼りない感じがあり、このままのペースで進むと、ほとんどの子が推薦で私立中堅上位大学(GARCH,関関同立レベル)におさまるような気がします。地方国公立までは狙えそうですが、旧帝大や難関私立はまだまだという感じがしますので、これからに期待です。

 

③今年の受験生(来年の新高校1年生)はどうなの?

さて、まだ一般受験を控えていますが、今年の高等部の内部進学の子たちのレベルはどうでしょうか。これはあくまで噂ですが、今年は今まで落ちるレベルだった生徒も合格になったという話があります。

 

私としては、昨年は1人落ちた際に「全員合格でいいじゃないか」という話をしたことがあるくらいですので、どんなレベルの子でも受け入れてあげればいいと思うんです。高校は、形式的には義務教育ではありませんが、実質は義務教育みたいなものですから。上海で家族と生活する上で高校は選択肢がほとんどないなか、高等部には商工クラブ等の資金が入っているのですから、公的な存在であってほしいからです。これはあくまで個人的な意見です。かつ、高等部もそれに近い考え方で生徒を受け入れていると思います。

 

ただし、その分生徒の学力差は大きくなります。来年も学力差は大きくなると予想されます。少人数かつ学力差の大きい環境で、あまりライバルもできにくいですから、どれだけ自分の意思を強くもてるかが大事になります。周囲に流されやすい子はどうしてもマンネリ化しがちです。

 

④予備校ってあるの?

予備校はないと思って下さい。駿台さん、JOBAさんなどの海外子女向けの塾はありますが、小学生・中学生のみ対応と言っても過言ではありません。高校生は受け入れていない、もしくは個別指導のみ対応(そう言って実質ないことも)という状況です。

 

個別指導や家庭教師についても、ほとんどが学校の授業内容のサポートに終始します。難関大を目指すならまずは自分で目標を設定して勉強し、そのサポートを個別指導や家庭教師で頼むことになると思います。

 

良い先生であれば、その目標も一緒に設定してくれます。学校や周囲のペースなどを気にせず、その目標を信じて着実に勉強していくことが、最も難関大合格の近道だと思います。大学の一般受験に成績は関係ありませんから。ただし、そのレベルの個別指導・家庭教師をできる先生も限られますので、少し早めに探されることをお勧めします。

 

⑤その他

あまりまとまりがなく申し訳ありません。

 

もし、日本でのお子様の実力テスト等の偏差値や通われている中学校のレベル等を教えていただけるとより具体的なアドバイスが出来るかと思います。コメントは承認制ですので、フリーアドレスと相談内容等をコメントに投稿していただければ、個別にご連絡して対応致します。

高校現地校事情

またまた更新が滞っておりました。今日は、上海での高校選択についてすこし詳しく紹介いたします。

 

■概要

さて、上海ではこの時期になると日本よりも一足早く、高校進学の動きがあわただしくなってきます。茗渓学園、宝仙学園、立命館宇治、土浦日本大学高校など上海会場で受験できる高校の多くは11月に試験があります。

 

上海に残る家族にとっては、日本人学校高等部の内部進学試験の時期でもありますね。

 

上海での高校選択となってくると、日本人学校高等部にすべきか、インターナショナルスクールにすべきか、はたまた現地校国際部はどうなのか…などといろいろと思案されているはずです。

 

これまでは日本人学校高等部を中心にブログで紹介してきたので、今回はインターナショナルスクールと現地校について考えてみたいと思います。

 

■インターナショナルスクールってどうなの?!

上海のインターといえば、SAS、BISS、WISS、LAS、SCIS、YCISなどがありますが、そのほとんどが高校2~3年生の2年間をかけてIB取得を目指すことになります。となると、気になるのは「どの学校に行けばIBでいいスコアがでるの」というところでしょうか。

 

これに対する私の答えは、「運次第」です。全くアドバイスにならずに申し訳ない所ですが、IBはその科目をどんな先生が担当するかが最もスコアに影響するといっていいでしょう。先生が違えば、授業の進め方もテストの難易度もまったく違います。試しに周りでIBをとってきた学生に話を聞いてみてください。日本の高校内容とは違って、かなりばらつきがあります。ということなので、どの学校がいいとは言えないんです。

 

それでもあえてどれか一つ選んでくれと言われれば「SAS」さんをお勧めします。ただし先生の差ではなく、生徒の差です。同級生のレベルが一番高くなるのがSASさんだと思います。ですので、その分ずっと日本語で教育を受けてきた中学生が急に入るインターとしては不可能に近いと思われます。

 

それ以外の学校を考えると、「どこの学校も似たり寄ったり」なんです。

 

■現地校国際部って何?

では、中国現地校の国際部はどうでしょうか。インターナショナルスクールと同じカテゴリーにされやすい現地校国際部ですが、これに関してはかなりレベルに差があります。

 

まず、私の個人的な順位としては、

上海中学→復旦大学附属→進才/(華東師範)→(上海外国語大附属/甘泉)

という印象です。他の現地校もありますが、私が知っている範囲で順位をつけると上記のようになります。華東師範以降が括弧つきなのは、中国語を中心としたカリキュラムとなるためです。

 

さて、まずインターと現地校では何が違うでしょうか。大きく3つ挙げると、

①中国系の先生や生徒が多く、国際部と言っても日常会話で中国語の割合が高い(そもそも華東師範以降は中国語コースが多い)

②生徒のレベルや理解度に関係なく、授業内容は全体的に難しい

③優秀な生徒だけをちやほやするような傾向がある

というところでしょうか。

 

では、どの現地校がいいのでしょうか。これに関してはお子様の能力とやる気次第です。本当にやる気とそれ相応の能力があるのならば、上海中学や復旦附属をお勧めします

それ以外の現地校に進学させようとするのであれば、私としては現地校ではなくインターナショナルスクールに行くことをお勧めします。中国語や英語など言語だけでも身につけて…と考えられる保護者の方も少なくないですが、中国語環境の強い他の現地校で中国語中心に勉強するよりは、インターナショナルスクールで英語を学んだ方がよっぽどいいと思います。

 

■まとめ

以上の私のアドバイスは、中学校で成績上位の人向けの話になります。成績が普通程度の生徒さんであれば、やはり日本人学校高等部に行き、日本語でしっかりと授業を受けて思考力を鍛えることが、他のどんな言語を学ぶことより良いと思いますよ。

 

ぜひ、ご参考までに。

上海の教育相談内容ランキングと少しのアドバイス

ご無沙汰しております。なかなか更新できずに申し訳ありません。。。あまり読者の方もおらず、知り合いにも特に告知しないまま開設したブログですので、気ままに更新しすぎですね。上海ではそれくらい気ままなものも必要ですよ!

 

さて、上海の教育関係でよくご相談を受ける内容として勝手にランキングをつけてみました。定量データを用いたランキングではなく、あくまで私の個人的なランキングです。それぞれのご相談に対するアドバイスもしておきます。

 

①学校の成績が伸びない

当然かもしれませんが、やはり最も多いご相談は学校の成績アップです。日本人学校、インターや現地校の国際部など、どの学校に通われていたとしても共通の悩みになります。特に中学・高校ともなると、進学に大きく影響してくるので、何が何でも成績を上げたくて、いろんな学習塾さんやカウンセラーに相談している方も見受けられます。

 

【アドバイス】

まずこのご相談の場合は、保護者の方々のご希望とお子様のやる気が一致していないことが多いです。保護者の方は「~~くらいはとって欲しい」という成績に対して、子どもが「~~も無理だ。なんとかごまかそう」と思っているような状態です。この場合、いくら子どもを叱ったところで効果はありません。

まず、お子様と目標を一致させましょう。「まずはーーを目標にしよう」というときに、比較的実現可能な目標を設定してください。お子様の心の中で「ーーなら自分でもとれるかも!」と思うようになれば、その目標は実現可能性が高まります。そうして目標を達成したら、次の目標、その次の目標へとすこしずつステップを踏ませることが大事です。

しかし、お子様のやる気もあるのになかなか成績が上がらない場合は、そのお子様の勉強の仕方に問題があります。まず、しっかりと時間を計らせながら、今勉強している内容がどれくらいの時間がかかるのか、それをどれくらいの理解度で終えられそうなのかをお子様自身に計算させてください。そうして、常に自分が何の勉強のどの個所を、どれくらいの時間をかけて取り組んでいるのかを理解させることです。

なかなか難しいようですが、慣れれば何も難しいことではありません。単元の内容は問題集に書いてくれているのですから。勉強効率が悪いお子様は、その全体像を把握するのがかなり弱い傾向があります。

 

②高校進学について

学校の成績と深く関係していますが、高等部やインターへの進学も含めた上海独自の事情も絡んだ相談が多いため、別項目としています。特に、高校に進学したとしても、途中で帰国する可能性が高い方は、

(a) 高校受験にあわせてお子様のみ、または御主人以外の家族が先に日本に帰国する

(b) インターや現地校国際部に通わせて、日本の高校に編入するかインターを続けるか考える

(c) 日本人学校高等部に通わせて、日本の高校に編入させる

の選択肢の中で悩まれます。さらに面倒なのは、御主人の帰国後の勤務地が決まらず、日本に帰りたいのだが、どこに帰ればいいのかわからないという状態になりやすいということです。多くの方がそういう問題を抱えています。

 

【アドバイス】

基本的には、学力が中くらいであれば日本人学校高等部への進学をおすすめします。まず、高校からインターや現地校国際部に通ってみたところで、基礎学力が高くなければ中途半端な学力で日本の学校に編入しなければならなくなります。インターから日本の高校への編入も単位的にも受け入れられない高校も多いですよ。

仮に3年間通ったとしても、IBあるいはSAT、TOEFLなどで高いスコアを取るのはかなり厳しいです。私の生徒の1人に、高校から上海中学に通ったお子様がいらっしゃいましたが、やはりTOEFLとSATの両方を高めるのには苦労し、なんとかSAT1で1800越えしたものの、TOEFLを上げる時間まではなく、大学受験を迎えてしまいました。

それならば、高等部で日本の勉強に取り組みながら、編入できる日本の高校を探しておいた方が選択肢は多いです。大学受験に関しては、学力が伸びそうあれば一般受験を考えられたらよいと思いますし、海外経験をいかしてAOや公募推薦という方法もあります。詳しくはコメントいただければご相談にのれるかと思います。

学力が高いお子様に関しては、高校受験にあわせて先に日本に帰国したほうが選択肢は多いかと思います。寮制の高校もありますし、生活面で不安がなければ、学生会館で一人暮らしをしながらの通学を認める高校も少なくないです。そうして日本の高校で日本の教育制度のもとでしっかりと大学受験に備えた方がよさそうです。

なお、お子様が海外の大学に進学したいと強く希望される場合は、この範疇にございません。インターや国際部に通いできる限り英語力を高めつつ、SATやTOEFL、そして何か課外活動での実績を残していってください。高校からの進学であれば遊ぶ余裕はなく、かなりのハードワークを覚悟してください。もちろん、それほど高いスコアを要求しない大学に進学するなら話は別ですが。。。

さて、中学からインターや国際部に入られるケースもございますが、これは本人の強い希望の場合はいいかと思います。中学の勉強に関しては、さまざまなかたちで補講ができますし、そのための時間もそれほどかかりません。それなりに費用はかかりますが。。。とにかく、お子様の強い希望がある場合、まずは中学のスタートをインターや国際部で1年ほど過ごしてみて、その後続けるかを考えてもよいかと思います。

 

③数学を補習して欲しい

日本人学校、インターや国際部を問わず、数学が苦手なお子様は多いです。しかも、上海には高校受験数学や高校数学を得意とする講師もあまり多くありません。大学受験数学なんて依頼しようものなら、「すいません、生徒がいっぱいで今受け入れられません」とでも言われ、断られるでしょう。

 

【アドバイス】

大学受験数学に関しては、まずは高校の勉強と切り離して考えてください。高校の数学でいくら良い点数が取れても難関大学の数学には歯が立ちません。学年別におすすめの勉強の進め方をまとめておきますと、

 

高校1年生の方:

数学ⅠAがある程度終わるまでは学校のペースでよし。教科書傍用(サクシードなど)をしっかりとやり込んでください。ⅡBに入る冬以降に、ⅡBの学習と同時進行で数学ⅠAの応用を解いていくための導入的な問題集「数学ⅠA基礎問題精講」や「チョイス新標準問題集数学ⅠA」のA問題だけなどをこなしておけばよいかと思います。かなり数学が得意な方は「1対1対応の演習」などに取り組んでいれば、模試で偏差値70越えになるでしょう。

 

高校2年生の方:

前提として、夏以降、数学はⅡBを中心に応用問題を解いていく必要がありますので、高2の夏までに数学ⅠAの基礎は固めておくとよいです。基本的には、ⅡBは教科書傍用教材と青チャートを併用させながら単元ごとにある程度応用問題まで触れておきましょう。ただし、青チャートⅡBはすべてやるのはかなり骨が折れるので、辞書的に使えばよいかと思います。代わりに、夏以降にⅡBの応用問題を、「チョイス新標準問題集数学Ⅱ」や「チョイス新標準問題集数学B」、もしくは「数学ⅡB標準問題精講」などで補っていけばよいでしょう。こちらも、数学が得意な方は「1対1対応の演習」などに取り組んでいれば、模試で偏差値70越えになるでしょう。

 

高校3年生の方:

理系か文系かで分かれるところです。文系であれば、夏までに数学ⅡBの「1対1対応の演習」をこなせられれば難関大も夢ではありません。夏にプラチカ、秋以降に過去問演習に入っていけばちゃんと合格するだけの実力がついているでしょう。

理系であれば、さらに数学の勉強量をふやして、「1対1対応の演習」→「やさしい理系数学」と数学ⅠAⅡBの問題集をこなしながら、教科書傍用教材や青チャートで数学Ⅲの基礎をしっかりと固めてください。秋まで数学Ⅲは終わらないと思うので、授業と同時進行で基礎固めをしっかりとしておくことが必要です。秋に受ける模試の結果などもみて、自分の弱い単元を集中して取り組んでください。

 

一方、インター生向けの数学等ですが、これは学校の勉強を補習させるのか日本の数学を勉強させるかに分かれます。私は、インター数学をしっかり学ばせることに力点を置くべきだと考えています。というのも、数学の補習を依頼される場合、数学がそれほど得意でない場合が多く、日本の数学を教えたところで結局忘れてしまうだけになりかねないからです。そうした指導ができるのかどうかを相談されてはいかがでしょうか。

多少であれば私の方でもご相談に応じますので、コメントを頂ければと思います。

 

それでは、よろしくお願い致します。

 

久しぶりに更新します。

大変ご無沙汰しておりました。新しい事務所への移転、それにともなう諸トラブルへの対処が続いておりました。振り返ってみると、改めて上海の住宅事情の悪さを感じるものです。

 

さて、上海日本人学校高等部の新入生たちが入学し、また新しい一年が始まっているところです。

 

その前に、去年の受験生たちの結果は…個人的には妥当なレベルだと思います。国立大学の合格者は広島大学の1人。理系推しの風潮があるにもかかわらず、国立大学に受かるのが1人というのは残念です。逆に、私文の結果はよかったのではないでしょうか。協力大学だけでなく、自力で早稲田大学と上智大学、青山学院大学を出しているので。この辺は上海という土地柄、語学に秀でているお子さんがいらっしゃるという点が良かったのかもしれません。

 

さて、某集団塾さんは高校生の新規受付をやめたようです。これは日本人学校高等部どうこうとは関係なく、どうやら内部事情のようですね。インター生対象の小論文まで新規はやめてしまうようですので。

 

さて、まだまだ先の話ですが、新受験生たちの結果はどうなるでしょう。今年は国立大学志望の学生さんも多いと聞いています。もちろん今後志望校もどんどん変化していくようにも思いますが、去年の結果を各自がどのように受けとめているのか、注目です。

 

また、少しずつ更新していかれればと思います。よろしくお願いします。

上海現地校に通う日本人学生たちのTOEFL事情

年末年始に日本に帰国したり、上海の春節で出かけたりとバタバタとしておりました。大変ご無沙汰しております。

 

さて、春節前頃からですが、日本人学校高等部の高校1年生が6人帰国するということで、関係者の間では少し噂になっておりました。しかし、1クラスしかなかった今の高3に比べて、今の高2は他の学年は人数が少し多いので、来年度になって新高1が入ってくれば人数自体は微増するでしょうか。

 

さて、いろいろと中学・高校・大学の受験結果が出始める時期ですね。3月には卒業式です。日本人学校高等部初めての卒業生たちの進路はどうなっていくのでしょうか。そのことに関してはまた後日ご報告できればと思っております。

 

ところで、国際部に通う日本人学生も海外の大学申請が一段落したところです。しかし、日本の大学に帰国子女入試で受験するにはまだまだ時間があります。で、最近TOEFLの勉強のことで相談を受けました。日本の大学に帰国子女として受験するためにTOEFLの点を上げたいとのことです。

 

TOEFLに関しても少しばかりかじったことがあったので、とりあえず相談を受けた生徒さん(現地校国際部11年生)に手元にあったリーディングを解かせてみたのですが、これがびっくり。読解した内容があまりにも「ぼんやり」なのです。それでも、TOEFLはそこそこ解けるんですね。まず読んでもらったのは、この文章。第一段落の英文と第一段落だけ読めば解ける問題のみ掲載します。

 

Characteristics of Roman Pottery

 

     The pottery of ancient Romans is remarkable in several ways. The high quality of Roman pottery is very easy to appreciate when handling actual pieces of tableware or indeed kitchenware and amphorae (the large jars used throughout the Mediterranean for the transport and storage of liquids, such as wine and oil). However, it is impossible to do justice to Roman wares on the page, even when words can be backed up by photographs and drawings. Most Roman pottery is light and smooth to the touch and very tough, although, like all pottery, it shatters if dropped on a hard surface. It is generally made with carefully selected and purified clay, worded to thin-walled and standardized shapes on a fast wheel and fired in a kiln (pottery oven) capable of ensuring a consistent finish. With handmade pottery, inevitably there are slight differences between individual vessels of the same design and occasional minor blemishes (flaws). But what strikes the eye and the touch most immediately and most powerfully with Roman pottery is its consistent high quality.

 

この段落の内容を要約してもらうと、彼は「古代ローマの陶芸品はクオリティが高かった」と要約しました。もちろん最も大事なことはできるだけ速く正解を導くことであり、この程度の理解でちゃんと問題を解いていくこともできます。例えば問1を見てみましょう。

 

1. Paragraph 1 indicates which of the following about Roman pottery?

A. Roman amphorae were of much higher quality overall than other Roman pottery.

B. Roman pottery can best be appreciated when actual pieces are handled.

C. Roman pottery declined slightly in quality when the use of fast wheels and kilns was introduced.

D. Roman practical tableware spread more rapidly across the Mediterranean than amphorae did. 

 

第1段落の内容に適するものを選択する問題です。こうした問題の場合はまず消去法で考えましょう。まず、Cにある「ローマの陶芸品は質が少し低下した」といったネガティブな内容は第1段落とは正反対の内容になります。またAの「amphoraeは他のローマの陶芸品よりもずっと質が高かった」や、Dのように「食器の方がamphoraeより急速に拡がった」という内容は書かれていません。ですので、Bであることはすぐに判断がつきます。

 

では、問2はどうでしょうか。

 

2. All of the following are mentioned in paragraph 1 as characteristics of Roman pottery EXCEPT:

A. It was usually made with high-quality clay.

B. It generally did not weigh much.

C. It did not break as easily as other ancient pottery.

D. It sometimes had imperfections.

 

これも、"Most Roman pottery is light and smooth to the touch and very tough, although, like all pottery, it shatters if dropped on a hard surface." を見れば難しくない問題です。ここで"like all pottery"と言っているので、Cの「他の古代の陶芸品とは異なり…」の内容ですぐに違うことがわかると思います。Cが明らかに違うので、他はもう考える必要もなくなります。

 

こうして解いてみると2問とも簡単に解けました。彼も簡単に解いていました。こう考えるとTOEFLのリーディングは、中学校レベルの国語力で十分に解くことができます。

 

しかし、その程度の理解で常にリーディングを解くと、点数では30点中20点程度が限界になってしまいます。アジア人であればリーディングが稼ぎどころなので、もう少し点数を上げたいところです。どうすれば点数があがるでしょうか。

 

点数の上げ方は人によって変わります。例えば、小さい頃からインターに通い、ずっと英語で勉強をしている場合、あとは回数をこなして形式に慣れるくらいだと思います。正直、こうした子たちに関しては、TOEFLのリーディング対策はあまり必要ない気もします。

 

しかしながら、英語での勉強に慣れていない、特に、高校から国際部に通い出すような生徒さんは、英語での読解は時間が足りなかったり、不十分な理解になってしまいがちなので、日本語の知識で補うことが多ければ多いほどいいです。そのための背景知識や文章のポイントをつかむ訓練をしておきましょう。

 

続きは次回で。

上海日本人学校高等部の合格発表にかんして

12月10日(火)に上海日本人学校高等部の内部と公募試験の合格発表がありましたね。上海会場では21人が受験して20人が合格したみたいです。合格した方々はおめでとうございます。

 

さて、上海日本人学校高等部のホームページで募集要項を確認すると、定員は40名程度です。しかし合格者は20人。他に東京会場があるとしても、東京会場で20人も合格者は出ていると思えませんし、定員を大幅に下回った結果になるでしょう。

 

ここで個人的に思うことは、1人だけ不合格にするというのはどうなんでしょう、ということです。つまり、上海で生活する日本人にとって選択肢の少ない高校の中で、日本人だけを対象にした上海日本人学校高等部は上海在住邦人の子女に教育を受けさせる義務があるんじゃないかということです。

 

もちろん高校は義務教育ではありませんし、一私立高校の合格基準なんて高校側が決めることでしょう。でも、法的に義務教育ではなくても、高校くらいは多くの人が通うことが普通になってきた今の時代で高校に通えないという状況を作ることがどうなんでしょうかと思わざるをえません。しかも定員に満たない人数であるならなおさらです。

 

高校側としては、進路実績がかなり重視されるところなので、あまり成績の良くない生徒を入れることで他の生徒への悪影響や、教員への負担増、他の保護者からの目などを気にしているのでしょう。高校の勉強についてこられない生徒を合格させることは確かにリスクです。

 

日本の私立高校に対してこんな苦言を呈することはないです。しかし、それは日本であればレベルに合った高校へ進学するなり、就職するなり、いろんな選択肢がありうるからです。上海では、家族が一緒に生活しようと思えば、子どもたちは進学するしかないのです。その中で、上海日本人学校高等部は、普通の日本の私立高校とは異なる役割を担う必要があると思うのです。

 

日本の大学はさまざまな形式の入学試験を実施していますし、上海日本人学校高等部が少人数であるからこその一人一人に適した教育を施して、さまざまな生徒を抱えられるだけの器を持ってほしいと思います。

 

もちろん高等部の先生方の御苦労も御察し致しますが。。。

本郷高校のH25年数学入試問題

 

 

 

今回解いてみる問題はこちら。本郷高校H25年数学の大問4です。

 

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この問題、本郷高校のホームページで問題及び正答率が公開されていますね。大問4は(1)は、172/210(正答率約82%)、(2)は、13/210(正答率約6%)という正答率に大きな差が出た問題でした。特に(2)は正答率が全問題の中で最も低かったです。

 

しかし実際に解いてみるとそれほど難しくありません。まず図を書いてみると以下のようになるはずです。

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(1)はそのままですね。中点連結定理を使って考えてみましょう。EF=1/2AC、FG=1/2BA、GE=1/2CBとなり△ABCと△EFGは辺の比が2:1で相似の関係にあるといえます。よって面積比は相似比の2乗となるので、4:1。つまり、△EFGは1/4Sとなるわけです。この問題は正解率が高くても不思議ではありません。

 

(2)は重要なポイントがわかりさえすれば簡単な問題です。△EFGの3点E、F、Gからそれぞれの対辺におろした垂線の交点(△EFGの「垂心」ともいいます)は、△ABCに外接する円の中心O(△ABCの「外心」ともいいます)とどんな関係になるでしょうか。

 

まず、△ABCの外心は△ABCの各辺AB、BC、CAの垂直二等分線の交点になります。(中1の作図の応用問題でも出題されます。)つまり、外心OはBCの中点Fから垂直に伸ばした線上にあるわけです。ところで、中点連結定理より、BC//EGなので、△EFGの頂点Fから辺EGにおろした垂線は辺BCとも垂直になります。他の頂点から対辺におろした垂線も同様です。

よって、△EFGの垂心P=△ABCの外心Oとなるわけです。したがってPC=OC=2となります。またFC=1/2BC=t

 

そうするとPF=OF=√OC²ーFC²=√4ーt²

よって△PBCの面積は、2t×√4-t²×1/2=t√4-t²

となります。

 

高1の数Aでも外心や内心を詳しく勉強するのですが、難関校を受験するならば内心、外心、重心くらいはちゃんと理解しておきたいところですね。