上海教育事情ブログ

上海で個別塾「上海個別塾(シャンコベ)」を運営しつつ、上海の日本人向け教育事情についていろいろと書いていきます。上海だけでなく、他の海外からの中学受験、高校受験、大学受験について、一般入試や帰国生入試に分けてリアルな状況をお話します。

高等部からの国立大学受験⑤(2018年度の振り返り)

高等部からの国立大学受験シリーズも今回で完成です。次回からは、インター生のAO入試についての最近の受験の振り返りをしようと思っています。

ということで、高等部生で実際に国立大学を受験した生徒さんがどのように受験をしたのかを詳しくお伝えしています。まずはを読んでから、読んでもらえると参考になるかと思います!

⑨センター試験終了後のちょっとした問題

 センター試験終了後、まずは出願先の確認をしました。「ちょっと予定よりも得点が高いけど、どうする?大学のレベルを上げてもいいし、そのままの大学でいいよ」という話から始まりました。彼の答えは「数学の対策をしていないからそのままの大学にします」という話でした。この瞬間において、私は無責任に「ああしろ、こうしろ」とは言いません。本人や家族のなかで決めてもらいます。私の返事は「了解」だけでした。その後、「滑り止めの試験日程が先だから、そっちの過去問解いてみて。わからない問題あれば、解説をwechatで送ります」という話をして終わりました。

しかし、1月23日になって突然に連絡が入りました。担任の先生(今はもう帰任されています)から「センター上手くいったんだから、もう少し検討しなさい。私大センター利用も考えて。」と連絡があったそうです。正直、なんと無責任な…と思いました。そもそもそんな後出しで出せるセンター利用で滑り止めにできる大学は皆無です。滑り止め、後期、それらを総合的に考えた上での発言とは思えませんでした。

ただ、本人はそう言われると迷うものです。そこで、私の方で目標を上げる場合、首都大で出すことになるだろうこと、そして何点をとればいいのかを計算してみました。そのときに、本人に見せたデータが以下です。

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私は、「2次の過去問で450点中の280点(約62%)くらいが取れれば合格者平均くらいなはず」ということを伝えました。その上で、一度過去問を解いてもらいました。秋に首都大の問題を解いてもらったことがありますが、そのときは途中で諦めたくらいでした。このときも手ごたえはなかったようです。

その後、いろいろ計算した結果、「後期に1つ落とした大学に出せばそっちはたぶん大丈夫だから、それならあり」という話に落ち着きました。ここから、首都大の二次対策が始まりました。

⑩滑り止めとしての私立大受験

さて、センター試験が終わると私立大学の受験が始まります。ここで私が伝えたいことは、当たり前かもしれませんがセンター試験と私立大の入試対策は別にすべきということです。

センター試験も私立大入試もマーク形式で似ているし、偏差値や大学名だけを見て、「センターで8割取れたから私立もどっかは引っかかる」と思っている方がいます。最近の事情として、私立大学の入学定員が絞られていること、推薦や内部進学等の生徒が増えているので一般受験は狭き門になっているため、大学毎に個別に対策を練らねば受かりにくくなっています

ですので、個人的には、私大を目指すのであればもはやセンター試験(来年度以降は新形式になりますが。)は不要であると考えています。多くの方は、「センター試験を受けないと不安」という心理的事情からセンター試験を受けているにすぎないのではないでしょうか

さて、彼は私大の過去問は受けた学校につき1度ずつしか解いていませんでした。もちろんどんな傾向なのかもつかめておらず、時間配分や捨て問などの分析もできていません。ということで、結果は散々でした。

国立受験において滑り止めとしての私大受験はどうすべきかという話は長くなりそうですので、また別の機会に譲ることにします。

⑪いよいよ国立大二次試験本番!

2月の中旬になり、2月25日の試験までに2週間を切った頃には5年ほど首都大の過去問を解いてもらいました。最初の頃は国語の作文を採点したとき、点数をあげられないくらい書いている内容の意味が不明な文章だったので、不本意ではありましたが最低限の得点ができるはずの作文の「①作者の主張をまとめる。②自分の論点を提示する。③自分の経験を使って分析する。④結論を出す」というフォーマットを伝えました。また、「作文の漢字間違いや要旨の間違いは採点する側の印象が悪くなるから、自分が確実にわかることを書くべき」とも言っています。こうして、ある程度の文章をかけるようにしてもらいました。

そうして採点的には徐々に上がってきて、数学が70~90/150、国語70~100/150、英語80~105/150という私の採点状況でした。彼には、「英語で7割、国語6割、数学5割が最低ライン」と伝え、英語で7割をとるための落としてはいけない問題の分析や、国語で6割以上をとるための作文の方法、そして数学の部分点の稼ぎ方などを教えました。2月はほぼ毎日昼間に連絡をとって、その日ごとに採点や解説等を行っていきました。

あっという間に試験本番を迎えました。その日の夜、本人から連絡が入り、手応えを聞くと「国語は6割いったと思います。英語は記号系は速報とほぼ一緒だったので7割いけたかも。数学は2つ完答できたから、いろいろひかれて5割くらいかと」ということでした。

 

3月8日、彼からの連絡を待っていました。いつもは11時過ぎから始動するのですが、いつもより少し早く起きて連絡を待っていました。11時13分、いつも始動の遅い私を気遣ってかこの時間に連絡が入りました。

「首都大学東京経済経営学部受かりました。」

 

 

以上、2018年度の国立大学受験の記録でした。最後の最後までうかるかどうかわからないなか、懸命に対策を考えつつ指導できたことは個人的にすごく教えがいがあって、楽しかったです。もし、ここまで読んでくれた方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございました。